くのいちれでぃーの忍法雑記帳

たぶん忍術に関することはほぼ書きません。

8年越しの念願の料理は究極の普通!?/カンテサンス@品川

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最初にその名前を知ったのは東京スイーツ倶楽部に行ってた頃だから5年くらい前だろうか。

当時は全く有名店など知らなかったので賛否両論と聞いても絶賛されるんじゃなくて賛否両論があるお店なんだーと思っていたくらいの無知っぷりだった。それが店名なんて想像もしなかったの。恐らく当時から笠原さん有名だったのだろうに。

来栖けい氏がゲストにいらした際にカンテサンスのデザートを大絶賛していたことで初めてこのお店の存在を認識したのだった。いま調べてみたら来栖けい氏の会に行ったの2009年。ということは冒頭では5年と言ったけど実際はそこからの8年分の思いが今回のランチには乗っているということなのだな。プラスお声掛け頂いてからの3ヶ月か。

当時は知らなかったと書いたものの、今もそう詳しくはない。が、当時の私にとってはへーそんなのあるんだ違う次元だなーと思っていた遠い場所まで自分の世界が広がったのだと思う。

そこに触れた結果行ってみたいと思うようになり、行きたいと言い始めたらお誘い頂ける様になって幾度か機会はあったものの何かと合わず、遂に念願が叶うことに相成ったのであります。

なんか昔好きだった人と会うみたいな感じだ。どきどき。あっそれはちょっと盛ってます。でもそれくらいどきわく友の会。

ということで8年分+3ヶ月のカンテサンスへ!
あの来栖けい氏をもって最高と言わしめたお店に遂に私も。

 

まず入り口の扉がめっちゃ緑なことに面食らいながら中へ。この木目の外観から急に緑のガラスとかびっくりするわ。

このお店の感想を一言で表すなら「究極の普通」ですかね。何じゃそりゃって感じだけどそう感じるお料理だったの。

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今回は個室なんだようふふ。関係ない人にはそんなおおごとじゃないかもしれないけど写真撮れないと発狂しちゃう私には絶対条件なんだよ。

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いつも一杯目は泡なのでシャンパーニュで始めるつもりだった。しかし注文した後にみかんジュースもあると知りあまりに美味しそうだったので変更。濃くて美味しい。

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本日のメニューですと言って黒い本が手渡される。

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おお!
中は白紙!

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その時はこの演出に興奮してめっちゃはしゃいだけどよく考えたらこれどこかで聞いたことあったな。

見よこれが3キロバイトの記憶力だ。
いつでも新鮮な感動を味わえる私の勝利ですね。何に。

 


いよいよ始まります。
お店の名前入りの石の上に運ばれて来る。この石も立派。

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一品目は山形県産長ねぎのスープ。
中にはイベリコ豚とウリボウが入っているそうです。

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上には焼いた長ねぎのオイル。長ねぎからオイルなんて抽出出来るのか。のっけから斬新過ぎる。

すごいねぎの香り。意外にもすっぱいんだね。ちょっと中華の味わい。ねぎ効果?
てかかなり油だな。確かに美味しい。ただちょっと油の主張が強過ぎる様に感じる。

 


続いてはこちらのお店のスペシャリテ、ヤギのミルクのババロア
うん、見たことあるやつだ。

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ヤギは京都の畜産農家さんが飼育してるそうです。
味付けはプロヴァンスのオリーブオイルと塩。
上には百合根とマカダミアナッツのスライス。マカダミアナッツってスライスして使うものなのか。

うわーとけるー。
結構すっぱいんだね。

塩のがりって食感が美味しい。
オリーブオイルの分量もちょうどいいな。味付け好き。

こちらは毎回出るそうです。ただもし私が近いうちに来ることあったらせっかくだから違う前菜をいただきたいと思ってしまいますね。だって限られた貴重な機会だし新たなる出会いが欲しいと思っちゃう。

 

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そしてここでシャンパーニュいっちゃった。
香り豊潤ー。
結構味濃いけど飲みやすくて美味しかった。

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どうでもいいけど豊潤ーっていうのがゆたか・じゅんいちっていう昔の歌手みたいだなと思った。

 


ライ麦と全粒粉のパン。

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うっわ( ;゜Д゜)

持っただけで美味しいって分かる!
こんな経験初めて。

うまああ。

適度な酸味でもっちもち。かんだ時にがりっていうしっかりした食感なのに固くはないのよね。魔法でしょうか?

メゾンカイザー本店の特注。近くにあってランチの直前に焼いて届けて貰っているからこんな美味しいのか。

ルヴァンっていう天然酵母を使っているから余分な酸味が消えて美味しいバランスになると言っていた。ライ麦パンに天然酵母使ってますっていうお店多いのには理由があり、イースト菌ではライ麦パンは膨らまないから天然酵母なんだと。

ドイツパンってめっちゃつまっててずっしり重いし固いじゃん?あれは使ってる酵母の影響であんまり膨らまないしだからあれだけすっぱいという知識を教えていただいた。こういう話大好き。

 


鳴門の鱧とグリーンアスパラ。
夏の印象だけど一旦やせた後に脂肪を蓄える時期だから、夏が旬とされてるだけで本当は今くらいの季節が一番美味しいそうな。

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骨切りして皮だけ炙るという調理法。どらやきに焼印するような鉄板を当ててじゅってやるらしい。

ニュージーランドのアスパラとグルノーブルのくるみ。それにパルミジャーノレッジャーノで味付け。

ああっこれは美味しいっ!
食感も味もいい。

鱧の柔らかさとアスパラの食感が共に良いし、ふたつが合わさると更にまた美味しい。

残ったオイルにパン付けると酸と酸で超合う。見た目的には合いそうなシャンパーニュは意外と合わない。

こういう言い方は変かもと思いつつも、ある意味普通なんだよね。普通はおかしいか。普段馴染みないものを組み合わせてるのにすごく自然に頂けるの。

私の中ではこちらが本日のナンバーワンです。鱧もアスパラも味付けも最高でした。

 


鰆のロースト蓮根のクロケット添え。
魚へんに春と書く割に春では遅く、寒鰆と言ってこちらも今が良い季節とのことでした。一般に知られてるのと真の旬って違うんだね。

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9キロの鰆を大きなかたまりのまま焼くのが美味しく仕上げるコツと言ってました。
長野の天然きのことタルティーボのソース。タルティーボは西洋野菜のひとつ。

ぎゃあー美味しい。
ぷるんだししっとり。熱を加えた魚をこんな食感で頂いたことあったかしら?今でもぷるんの食感が口内でリフレインする。

皮のかりさくもやばいー。
もはや塩だけで食べたいくらい。素材と全力で向き合いたいレベル。

ソースは玉ねぎの香ばしい香り。
と思ったものの食べてみると結構こげた味に感じる。和風味でもあり高級ファーストフードのハンバーガーにも使われてそうなオニオンソースという印象。

だんご美味しい。だんごとか言ったらダメなのか。クロケットですね。
蓮根のカリカリした食感と少々のねばっこさが残る噛み心地が共にとても良い。

 


ホロホロ鳥のロースト。
上に乗ってるのがむね肉で下のがもも肉。添えてるのがささみ。

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こちらも塊でオーブン3時間。
いちじくの葉っぱを乾燥させてフォンドボーに香りだけうつしたソースって何かもう凝り過ぎてて私の様な凡人には味の想像が付かない。

ぶわあうまい。
脂と塩加減がすごいいい。

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断面見たら脂身すっご!
ぷるんって美味しいなと思ったら流石の見た目。もも肉もなかなかの脂。
ささみはイメージ通りのささみって感じでした。

ソースがスパイスっぽい風味なの。シナモンの雰囲気も感じるし面白い。
苦いのは焦げてるのかこういう味なのかどっちなんだろ。

金針菜(きんしんさい)とごぼうチップ。金針菜は中華の味わい。ごぼうチップは軽く香ばしくて美味しい。

そば粉のクレープ。中にはじゃがいもとチーズ。
すんごいふわふわー。

外の生地の軽いのに存在感あるさくっが美味し過ぎる。

またもや普通っぽい顔をして普通に作ってもこうはならない一品。

 


デザートその1。デセールって言った方がいいのかしら。
男女で器違う。
九十九里の菅原さんのガラス作品だそうです。

シャーベットのフレーバーコーヒーがけ。
カルダモン、レモンピール、ドランブイ、リカールのシャーベット。前代未聞。
ドランブイって言葉を人生で二度目に聞いた。

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薬のような香り。
食べてみると甘酸っぱくてレモンの風味。

びっくりするくらい瞬時に溶けるよ。
苦手かと思いながらも食べてると美味しくなってきた。
コーヒーも苦味と酸味強いな。

でも合わさると意外といいんだよね。
苦いオン苦いにも関わらずぶつかってない。

この組み合わせをどう発想するんだろ。脳内で合成したらそう美味しそうなイメージじゃないでしょ。

本当に繊細なようで、刻一刻とお皿の中でシャーベットが溶けてくのが分かる。
細かい砂金みたいのいっぱい入ってるように見えるのは何なんだろ。
油浮いてるようにも見える。コーヒーの油分かな?

何しろ初体験。

 


デザート2品目。
ふたつあるって嬉しい。

りんごとシナモンの香りするし下にパイ生地敷いてあるからアップルパイかなと思っていたら「りんごパイ」と言われた。なんかりんごパイって言うとかわいい。

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コリアンダー、クミン、シナモンで風味付けしてるから冷え性にいいってほんとかしら。

上にくだいたシュトーレンをかけているそうです。
その発想が面白いな。
シュトーレンはくだくものじゃないもん。

うんまあ∑(゜Д゜)

サックサクの食感。
完っ全なる一体感。

素晴らしいです。
完敗。
勝負してもないが。
味もさることながら焼き加減が完璧。

お皿がすごい印象的だったなぁ。青い板に銀。こういうとこも面白い。

 


食後の飲み物を聞かれる。

ハーブティーカモミールレモングラスとリンデンバールの3種類があると言われ、リンデンバールって何ですかと聞いたら菩提樹ですと言われた。聞いたのに分からない。

せっかくなので初めてのものと思い興味本位でリンデンバールを注文してみました。すんごい薄い黄色のお茶。出がらしでしょうか?すいません嘘です言いたかっただけです。

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甘い花の中国茶みたいな香り。味はあんまりない。風味を楽しむ感じかな。

 


本日のコースはここまで。

いやー美味しかったです。
とっても変わってるものと、一周して普通に美味しいものとがあって面白かった。

てかお会計が思ってたよりリーズナブル。
15000円をリーズナブルと言って良いのか分からないのですがあの雰囲気とサービスの中でこのお料理を頂けるなら全然ありじゃないでしょうか。

お料理もさることながらホスピタリティね。まあ店員さんによってはまあまあの人も居るけど10%のサービス料はこの為に払ってるのかと思わせられる様なサービスに私の様な小市民は驚愕しました。

 

接客だけじゃなくてお手洗いのアメニティも豊富だった。

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とりあえず中を見たけど特に必要なものなかったから使わなかった。とはいえこの品揃えが一流感ある。そう一流を知らなくてもそういうこと言う。

とはいえ15000円は私には大金なので、常連の方は2ヶ月に1回とか定期的に来ているそうですが自分はそのレベルじゃないなと感じました。やっぱりかなり変わってるしひとつひとつが凝ってるしとっても面白いけど予約云々関係なく自然とここに足が向くってよりはあと二段階くらいある感じなのです。

要は同じ15000円を使うなら別のお店に行ってみたい。

あーでも今回はお昼だったので夜に訪問するというのは興味ありありです。それはそれできっとすごいのであろう。

帰り際に岸田シェフに会えた。よく行ってる知人が何回も言ってた名前だ。嬉しい。

写真で見るより更に若いなぁ。そしてフレンドリーで素敵。
シェフのファン枠で通ってしまうというのはあるかもしれない。

てか食べてる間ずっと頑張ってメモしてたら最後にメニュー表くれた。何やねん(笑)。

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とはいえ説明して貰った時と付いていたメニュー名の印象が違って面白かったのでメモしておいて良かった。
この文章は自分のメニュー名で書いてます。正式名称知りたい方はこちらの写真をご覧下さい。

最後の最後までシェフもスタッフの皆さんもサービス精神旺盛だった。

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本当に行けて良かったなー。
関係ないけどこんな喜ばしい日にお天気良かったのも嬉しい。

皆様も機会ありましたら一度くらいは!